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心に安らぎを与え、時にハッとする様な刺激を纏い、心を震わせ、心をとき放つ。そんな日々のエッセイ


by chang-ue

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サンタ・クルズ・デ・イスロテ島

南米コロンビアの洋上に浮かぶサンタ・クルズ・デ・イスロテ島。先日、この島の暮らしを特集する番組がやっていた。面積1200㎡、100m四方の小さな島には、なんと1300人もの人が暮らしており、世界一の人口密度を誇る。(興味のある人は⇒こちらを)

この島、いくつかの特徴がある。まず1つ目は、住人のルーツ。辿っていくとその祖先は同じ1人の人のようで、ここで暮らす人たちはほぼ親戚縁者と言える。またその事実を裏付けるかの如く2つ目の特徴として、少子高齢化の日本社会が羨むほどに子どもが多く、島民の半分が18歳以下という年齢構成だ。

周囲を囲む海と家族と言う最小単位のコミュニティー以外には何もないのであるから当たり前かもしれないが、島の暮らしは至って穏やか且つシンプル。島の中心にあるメインストリートとも呼べないほどの通りには、子どもたちが溢れ返り、子犬のようにじゃれあって遊んだり、1つのサッカーボールをみんなで追い回す。そして島内には最低限の生活を支えるには十分な物品を取り扱う商店や、こどもたちが通う学校などが作られ、のんびりとした時間が流れることなく漂う。

小さい頃は自然と戯れ、両親に抱かれて生きていれば幸せだろう。大人もこの生活が染み込み、当たり前のものとなっていて、小さなコミュニティーで暮らすことに何の抵抗もないだろう。しかし、子どもから大人へと心が切り替わるどこかのタイミングで、今の暮らしへの疑問や外の世界への興味が沸いたりはしないのだろうか?

テレビの画面に映る島の様子を眺めながら、ふとそんな考えが浮かび上がり、以前インドネシアのバリ島を旅行した際、山奥の村のこどもたちにしたある質問を思い出した。観光地化するバリの中でも街から遠く離れ、そこを訪れるようなツーリストがほとんどいないような土地で暮らす、中学生位のこどもに僕はこんなことを聞いた。
「街で暮らしたり、ジャカルタの様な都会で生活をしたいと思わないか?」

答えはみんな口を揃えて「NO」だった。そして誰もが「自分たちの村が好きで家族がいれば幸せだ」というようなことを言い添えた。

もう10年近く前の話しで、近年開発の進むバリでは同じ質問に同様の答えが返ってくるかは分からない。だが、その時に感じた、余計なことを知らず、身近なもの・ことで満たされる心の豊かさについて、今改めて僕は考えさせられ、幸せとは一体何だろうと自問自答してしまう。

僕らの暮らしは世界の大きな潮流に組み込まれている。グローバル。過度の資本主義経済・・
日々の暮らしは、複雑ないくつものしがらみや避けて通れない下らない要素と向き合わざるを得ないことが多く、流され続ける心は自らの幸せなんてことを考える僅かな時間すら与えてもらえない。昨年の震災が1つの気づきとなり、これからの日本をつくるために本当に必要なことを考えようとする取り組みも、各人の心の中で起こるはずの変化の芽も摘み取られがちだ。

幸せのカタチは世界各国、地域の文化・歴史によって違っており、決して同じとはならないだろう。しかし、確固たる拠り所があるかないかということで人は幸せにもなれれば、生涯迷いながら生きることにもなる。どちらかと言えば僕らはその後者ではないだろうか?溢れ返る物質と情報の中で大切な何かを見定められず・・

サンタ・クルズ・デ・イスロテ島の人たちの暮らしは一見文明からかけ離れていて、軽んじた目で見てもしまいそうになるが、むしろ僕らの生活では手に入れることの難しい心の豊かさやゆるぎない幸せを実感できる高い文化性を持ちえているのかもしれない。

そしてそれを証明するかのように、画面の中では、いくつもの笑顔が温かい南の島の暮らしの中に咲いていた。
by chang-ue | 2012-01-29 14:37 | ストーリー